希う(こいねがう)~いのりのかたち~和泉市いずみの国歴史館 令和3年度秋季企画展
文化遺産活用課からの案内です。少し難しいかもしれませんが、担当職員の熱い思いが伝わってきます。ぜひご覧ください!
和泉市いずみの国歴史館では、令和3年度秋季企画展「希う―いのりのかたち―」(会期:12/12まで)を開催中です。今回の企画展では、和泉市に伝わる縄文時代から江戸時代におよぶ貴重な文化財から、人々の祈りにかかわるものを展示しています。
なかでも見どころは、天受院(万町)に伝わる「銅像如来立像」と、池辺家(仏並町)に伝わる「修善講式」です。
天受院の「銅造如来立像」は、市史編さん事業にともなう調査で発見され、令和2年度には市指定文化財となりました。この仏像は像高30.7cm、衣服や顔の様式は飛鳥時代のものです。平成29年に行った蛍光Ⅹ線分析では、この仏像が、銅を主成分として錫や鉛の配合が少ないという、日本古代の金銅仏にみられる成分比率と矛盾しない結果となりました。なお、この仏像は「薬師如来像」とされてきましたが、薬壺を持つ現在の左手は、後の時代に補われたものです。
池辺家の「修善講式」は、平安時代の僧覚超が故郷で催した「修善講」の自筆による式次第です。「修善講」とは様々な仏の功徳をたたえ、「郷内」に生きる一切の人々の、現世における安穏と後世における極楽浄土への生まれ変わりを希求する法会です。「修善講式」の末尾には、「永延三年十一月八日」の日付が抹消され、「正暦二年九月九日」の日付が追記されています。(※永延3年は西暦989年、正暦2年は西暦991年)
今回の企画展は、天受院「銅造如来立像」の初公開となります。地域で大切に守り伝えられてきた貴重な文化財に接したとき、和泉の地に生きた人々の切なる願いに触れる思いがしました。
秋季企画展「希う-いのりのかたち-」/和泉市 (osaka-izumi.lg.jp)